イイモノ。

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HUSKING BEE/FOUR COLOR PROBLEM

HUSKING BEEというバンドをご存知でしょうか?

僕の青春時代ど真ん中でかかっていた音楽をつくってきたバンドなので取り上げてみようと思います。解散後、2012年に再結成したようですが、解散前のアルバムで一番大好きだった「FOUR COLOR PROBLEM」を紹介します。

そもそも、最初に僕がHUSKING BEEを知ったのはラジオで「A SINGLE WORD」を聴いたときになります。(PUT FRESH ON PAINT収録)英語も聞き取れないただの高校生の僕がこの曲にのめり込んでいったのは、同時代にこの曲を聴いた同志にならきっとわかってもらえるに違いありません。メロコアにジャンルされるであろうこのナンバーは疾走感やパンク感よりも何よりメロディが限りなく美しいものでした。胸に込み上げてくる何かがこの曲にはあり、それは年を経た今聴いても全く色褪せていません。若さ故の勢いと苦悩、そして何か形のない希望というものがそこにはあったような気がします。

さて、このFOUR COLOR PROBLEMはそんな美メロを搭載したメロコアバンドと捉えられるHUSKING BEEと、解散前の活動後期に見られる日本語ロックを生み出す孤高のジャパニーズバンドとしてのHUSKING BEEの間のまさに変貌の過程を記したアルバムであろうかと思います。このアルバムから、個人的に、その声に惹かれて止まない平林一哉(通称ドンドン??)が加入し、確実に新たな新境地を切り拓きました。それはコーラスやボーカルワークにおいてボーカル磯部に影響を及ぼしただけではなく、曲の幅(スピード感やリズムも含めて)が格段に広がったことに表れています。磯部の天賦のメロディの才を輝かせる楽曲は、疾走する曲だけでないことに平林の加入で気づかされたのではないかと思うのです。このような意味でこのアルバムはHUSKING BEE史上においてとても重要なアルバムです。このアルバム以前とそれ以降で、好みがすごくわかれるような気もするのですが、ハスキンの持つ曲と声の素晴らしさには変わりは無いと自分は今でも思っています。

それに加えて、上記のようにこのアルバムは青春期にヘビーローテーションであったので、個人的にも最重要なのです。恋に破れブルーになっている時や、これからの人生における漠然とした不安を抱える中でしゃがれた声で鳴らされる魅力的なこのアルバムは流れていました。「music begin…」で始まる爆音「#4」を皮切りに、人間の成長過程を小さなポテトにたとえ物語が進んでいく「A SMALL POTATO’S MIND」。ここでのコーラスワークは本当にたまりません。二曲の日本語詞「欠けボタンの浜」「海の原(わたのはら)」は叙情的で最高だし、同じフレーズを繰り返す「STILL IN THE SAME PLACE?」もハスキンらしいグッドメロディをミドルテンポの中にしっかり散りばめています。「BY CHANCE」なんて何度繰り返して聴いたかわからないほどの名曲です。切なくて感傷的で、だけど走り続けていて。平林のコーラスに涙がこぼれそうになります。そしてラスト二曲目には大名曲「THE SUN AND THE MOON」が収録されています。この世界観はそう簡単に真似できるものではないでしょう。壮大であり繊細。ストリングスを大幅に使うことで嫌気がさす曲が多いのですが、この曲は、まさにあの部分であのようにアレンジされなければならなかったのであろうという気がします。そして完成されたこの曲は人々の心に深く深く刻み込まれたのです。そして「DAY BREAK」で静かにアルバムは収束へむかいます。

僕が、墓場まで持っていきたいCDにこのアルバムは現在のところ間違いなく入っています。青い時代を思い出し、そして前を向かせ奮い立たせてくれるアルバムを持っていかない理由がどこにあるでしょう。バンドが解散しても、音楽は普遍的である限り永久に消滅することはないのです。

 

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FOUR COLOR PROBLEM

FOUR COLOR PROBLEM